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2009年6月27日 (土)

本当に分かっているのか?

数年前からパソコンによる蔵書・貸出管理を行っている。
バーコードシールを貼って、スキャナーでピッと読み込むだけ、らくちんらくちん。
ところが実は、やはりウチの図書室らしいと言えばらしいのだが、見切り発車。
バーコードシールを貼っていない図書がまだけっこうある。
あまり貸し出されない本や、禁帯出の本など、いまだにペタペタ貼っている状況。
図書委員をこき使いつつ、いや、図書委員にお願いしつつ進めているのだが、これがまたいろいろ大変で……。

ここ数日の図書当番は中学生。
で、個人全集のバーコードシール貼りをやってもらっている。
シールに書いてある書名と登録番号を見て、書籍を探してシールを貼る。
最初は快調だ。

「ソーセキさん、けっこういっぱいあるねぇ(ペタペタ)」
「いやだぁ龍ちゃん、こんなとこにいたよ(ペタペタ)」
随分近代文学の文豪たちと仲がいいようである。
いつから君らは芥川を龍ちゃんと呼ぶような間柄になったのだ?
まぁいい、中学生といえども、さすがに芥川や漱石や鴎外などは知っているようだ。
だが、ちょっとメジャー度が落ちると、とたんに馬脚を現してくるぞ。

「先生、ヒダリさんてどこ?」
ヒダリ? 誰だそりゃ、ヒダリさんと言えば“左とん平”(知らんかなー)くらいだが、文学全集などないぞ、ちょっと見せてみな。
「ほら、ヒダリ・センオ全集だって」
……これは「左千夫全集」、伊藤左千夫の全集、左千夫は名前だけ、苗字と名前に分けちゃいかん!

「先生、ジュンちゃんは? 中島ジュンちゃん」
中島ジュン? 知らんぞ……って、これは中島敦(あつし)だろ、さては「淳」と間違えたな。

「先生、ノロマだって、ははは」
……はぁ? それは野間宏(のまひろし)じゃないか、なぜ勝手に「ロ」を入れる?!

「ははは、なだいなだ、だってぇ」
さすがに「なだいなだ」は読めたな、平仮名だから当たり前だけど。
「ははは、上から読んでも下から読んでも“なだいなだ”だよー」
……違うだろー、下から読んだら“だないだな”だろ、“だないだーあっっ!”
舌噛んじまった。

「先生、タイコウジさんってどれ?」
……今度は何だ……、これ「太宰治」じゃないか、タイコウジって読むほうが難しいじゃん(宰はコウとは読まないだろうし)。
これは読めろよ~、生誕100年でちょうど巷ではブームになってるのに……。

しかし君たち、太宰は授業でやったばかりじゃないの?
知らないわけないだろ。
……さては君たち、わざと間違えているね?
「ははは……」
どこからわざとだー、どこからわざと間違えてたー、言えー!
「はははははは……」
完全におちゃくっとるな……。

ということで、やってもらうのはいいが、精神的に疲れるのである。
……だが彼女たち、本当にわざと間違えていたのか……。
全部本気で間違えてたりして……。
うー、また頭痛くなってきた……。

2009年6月23日 (火)

冗談です(おそらく)。

先日の記事(「一冊100円でーす」の話)の後日談

先生、本当に本借りるのに100円かかるんですか、って訊かれてしまったぞ。
「たぶんその子も冗談だって分かっていますよー」と、例の図書委員。
「真面目な中学生は怖いおねーさんに言われれば信じちゃうんだよ」と、私。
「100円っていうのが、いかにも本当っぽいからいけないのかな。いっそのこと一冊10,000円って言おうか」
「そりゃ高すぎるだろ」
「じゃぁ1000円くらいで」
「うーん」
って、金額の問題じゃないだろ!
いかん、いかん、うっかり話に乗ってしまった。

先日は中学生に「図書委員ってお菓子食べ放題って本当ですかぁ?」と訊かれた。
「時給900円もらえるんですか」とも訊かれた。
真面目に訊いているわけではない、とは思うのだけど(おそらくは)、信じられちゃったらまずいなぁ。
みなさん、ここに書いている生徒のセリフ、だいたいは冗談ですからね(おそらくは)。
ちょっとは本当なんだろうけど。
あまり真面目に受け取らないでね。

というようなことを書くと、またまた嫌な生徒が「先生は人生が冗談みたいなもんですからね」と必ず言ってくるだろう(またまた被害妄想?)。
あらかじめ言っておこう。
うーん…………しかし否定はできんなぁ。

人間万事塞翁が馬。
冗談から駒。
笑い話が現実になったりするのが人生。
今日が明日を約束してくれないのが人生。
冗談でもなんでも真剣に!

それはそうと、彼女たちは本当に冗談のつもりで言ってたんだろうな?
もしや真剣なセリフか?
不安になってきたぞ……。

2009年6月22日 (月)

『この本、おもしろいよ! 』

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岩波ジュニア新書が創刊30年記念ということで、岩波さんはちょっと盛り上がっている。
中高生が読むにはちょうど良い内容なので、本校でもジュニア新書はすべて定期購入している。
せっかくだから便乗して何かジュニア新書を紹介しようと思いついたはいいが、いかんせん数が多すぎて絞れない。
いっそのこと「本の紹介」をテーマにした本を紹介しよう(ややこしいな)、という気になって選んだのが『この本、おもしろいよ!』である。

それにしても何と直截的なタイトルだろう。
まずそのセンスに脱帽である。
まぁ、それはそれとして、この本では各界の著名人がとっておきのお薦め本をエッセイで紹介していく。
何と言っても岩波だから、けっこうお堅い内容かと思ったのだが、これがどうしてどうして、けっこうバラエティに富んでいて、読み物としてもおもしろい。
あさのあつこ,香山リカ,明川哲也,川嶋あい,五嶋龍,豊島ミホ,中江有里……などなど、いろんな観点から紹介してくれる。
「ライトノベル読書ガイド」まであるじゃないか!
おっと、先日も取り上げた本校の卒業生、梅沢由香里さんも登場、推薦本を紹介しているぞ。

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梅沢さんは荻原規子の『空色勾玉』をまず紹介している。
15歳の少女が主人公で、古代を舞台にしたファンタジー。
同じシリーズで『白鳥異伝』『薄紅天女』や『西の善き魔女』なんかも人気作ですね。

梅沢さん以外にも、皆さん個性的な推薦書案内をしてくれる。
「先生~、何を読んでいいか分からない~」と言ってくる生徒はよくいるが、まずこれを読んで探してみなさい!

2009年6月20日 (土)

人は成長する、はず。

えー。
先日はおちゃらけた記事を書いてしまい、失礼。
読み直してみて、やめときゃよかった、校長に怒られそうだ、と後悔しております。

気持ちとしては、品行方正とはちょっと言えない生徒の話が続いていたので、言い訳をしたかったとか。
そんなのばっかりか、と悪い印象を持たれても困るので……。
まぁ、いろんな生徒がいるということで……。

じゃあ何でそういう生徒のことばかり書くのか、と言われるかもしれないけれども、それは簡単。
「おもしろいから」
勉強も躾も大事ですが、一度しかない大切な思春期、学校はやっぱり楽しくなくっちゃ!
学校行きたい、と思えることがとにかく大事なのでは。

今日も今日とて、中学生3人組がカウンター横で腰を振って踊り出したり。
あんまり急いで図書室に来るから口の中に弁当が入ったままで、カウンター周りがすっかりウィンナー臭くなってしまったり。

高3生いわく、「中学生すごいねー」
まぁ確かにすごいんだけど、君たちも数年前はあーいう感じだったのだ。
「あんなにすごくない」と毎年高3は言うのだが、長年生徒の姿を見続けている教員から言わせれば、毎年同じである。

まぁそれと同時に、やはり人は成長するんだなぁ、と実感する。
あまり成長しない生徒もいることはいる。
肉体的には、6年間で身長が3㎝しか伸びてないと愚痴る生徒もいる。
しかし大局的に見て、使用前と使用後を毎年見ている感がある。
うるさくて落ち着きのない困った生徒たちが、卒業する頃にはしっかりした言動をとれる女性になっていく……。
本校の「教育」の成果(!)を如実に物語っているぞ。

見よ、今日も高校3年生は何を言わずともカウンターで係の仕事をしているではないか!
借りに来た生徒に何か言っているぞ。
「はい、一冊100円ねー」

貸本業するなー!
成長しろ!!

2009年6月17日 (水)

本校の生徒は品行方正

「先生、わたくしは最近の図書室の記述に若干の危惧を抱いております」
「どうしたのですか。遠慮は無用です、話してごらんなさい」
「先生のおっしゃる通り、一部の生徒にやや自分勝手な言動が見られます。ですが、このような生徒は本当に一握りであって、多くの生徒は自らを律し、日ごろより規律ある生活を実践しております」
「なるほど」
「ことさらに例外的な生徒の実態を記すことにより、本校の印象が誤って伝わってしまうのではないかと憂慮しております」
「確かに君のように品行方正、学術優秀、身体強健な生徒が本校には目立っています」
「そうです。わたくしたちにとって先生のおっしゃることは絶対であり、それに従わないという選択肢は存在しません」
「素直で温厚篤実な性格が本校の伝統ですからね」
「わたくしは愛する母校が正しく理解され、より高い極みに発展していくことを願ってやみません」
「私も君たちのような生徒を指導できることを心から誇りに思います」
「ほほほほほほ」
「はははははは」

 

……今回、一部(というか、かなり)フィクションあり。
……いや、やっぱりほんの一部ということでお願いします、できれば……。

2009年6月12日 (金)

サボっているわけではありません

ちょっと更新に間が空いたら、中学生から「先生、サボってちゃだめじゃないですか!」と説教されてしまった。
えーい、君に言われる筋合いはない!
こちとら忙しいんじゃ!

ご存じの通り6月には祝日がない。
でもって、大きな行事もないし(本校では)、定期考査もない。
今年は体育大会が延期になって6月1日に実施されたが、これは例外。
毎日あまり変化のないプログラムが粛々と進むのである。

そんな6月、逆に図書室は忙しい。
一年の中でも、1、2を争うくらい貸し出しも多い。
梅雨で外に出られない、あるいは出たくないという要因もあろう。
カウンター前には行列ができ、必死で対応しているまさにその時、他の人の話が終わるまで待つということを知らぬ傍若無人な客があちこちから同時に話しかけてくる。
「先生ー、予約したいんですけどー」
「料理レシピの本どこにあるんですかー?」
「検索パソコンが動かないんですけど-」

知らない人もいるかもしれないので一応断っておくが、私は聖徳太子ではない。
三人も四人も一度に話してこられても理解できんわ!
一人の言うことさえ理解できないことあるのに(中学生用語理解不能)。
カウンター周りは常連がうようよしてうっとうしいし。
図書委員はどうしたー!

「次の時間漢字テストでーす」
くー、勉強しとるのか、今日の当番でもないし、ならば仕方ない、もう一人来てたな?
「先輩はそこで寝てまーす」
寝るな-!

そうそう、全く話は変わるが、昨日新しい書架(大型本用)が入った。
こんなヤツ。

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というわけで、雑然としていた大型本の整理がやっとできるということで嬉しいのだけど、当然本の入れ替えもしなきゃいけないんだな。
本は重いぞ。
大型本はすっごく重いぞ(当たり前だ)。
腰が心配だ。
すっごく心配だ。

入れ替え中はしばらくバタバタするかもしれないけど、皆さんお許しを。

2009年6月 5日 (金)

中学生パワー全開

体育大会も終わってほっと一息……のはずの今日この頃。
でも図書室はどうも不穏な動きが。
今日も今日とて、窓口対応に一心不乱に勤しんでいたところ、ぞろぞろと図書事務室に中学生が……。
なんだなんだ、気がつけば部屋が中学生でいっぱいになっとるぞ。
まさか図書室乗っ取りか?
『図書館戦争』か?
だいたい図書委員かと思ったら、委員なんて一人もいない、ただの常連ばかりじゃん!
で、やりたい放題遊んでる。

未整理の本棚を漁って順番をメチャクチャにする。
近くにあるものを手当たり次第「ちょーだい」攻撃してくる。
私がカウンターから離れると勝手に貸出手続きしようとする(やり方知らないくせに)。
何だかわからんけど、人の体をペタペタ触ってくる。

「だめっ!」とか「やらん!」とか言うと、「けちっ!」と返してくるし……。

まったくこいつらはぁ……。
中学生パワー全開だな。

ほらほら出た出た、シッシッ、と追い出しにかかると出て行こうとはするのだけど、そこにお客さんがどどっと来て、貸出対応している間にまたしっかり居座ってしまう。
その繰り返しだ。
はぁ~。
こっちも緊張感緩んで、貸出期限のハンコを近くにいた生徒のおでこに押す真似をして、「反抗期にハンコ押す」などと、素晴らしいオヤジギャグをつい披露……。

一人だけクスッと笑ってくれる。
他は無視。

笑った子だけ入室許可、他は出てけ―!!

2009年6月 3日 (水)

『マイ・ブルー・ヘブン』

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「東京バンドワゴン」シリーズの4作目、というか番外編。
最近発刊されたばかりなのでこれを紹介するのだけれど、まずは本編である前3作を読んでほしいところ。
『東京バンドワゴン』『シー・ラブズ・ユー』『スタンド・バイ・ミー』です。
もちろん、すべて図書室にあり。

東京、下町の古本屋「東京バンドワゴン」を舞台に、ひと癖もふた癖もある面々が、一つ屋根の下泣いて笑って朝から晩まで大騒ぎするホームドラマの決定版!
登場する大家族の人々は、それぞれ個性的で魅力的。
ちょっとライトミステリー的味付けもして、笑って泣いて楽しめます。
いやぁ「LOVEだねぇ~」

昔テレビで人気を博した「寺内貫太郎一家」を彷彿させるおもしろさ(中高生には分からんかなぁ)。
これもテレビドラマにしたらいいと思うのだけれど、何でどの局もやらないのだろう?
登場人物の配役を自分で選んでみるというのもおもしろいかも。
やっぱり「LOVEだねぇ~」

おっと、肝心のこの作品の話をしてなかった。
今回の『マイ・ブルー・ヘブン』は、東京バンドワゴンの当主、勘一とサチの出会いを描く、戦後間もない日本を舞台にしたハードボイルドっぽい(ちょっとだけね)ストーリー。
ここから読んでもおもしろいけど、やはり本編を読んでからの方が楽しめるでしょう。

「LOVEだねぇ~」っていうのが何かは、読んでみれば分かります!
いやぁ、やっぱり家族っていいもんですねぇ(泣)。

2009年6月 2日 (火)

泣く

長ぁい体育大会もやっと終了。
と言うのも、もともと5月30日だったのが雨天のため6月1日になり、1日も午後から雨になり一部プログラムが今日に延期になったので……、いやぁ、大変でした。
さすがにこういうのは前代未聞ですね。
でも特に高3にとっては最後の体育大会。
プログラムをすべてやり遂げられたのは、本当に良かった良かった。
何といってもみんな、思い入れたっぷりの行事ですからねぇ。

新しい学校案内(パンフレット)作成のため、当日私はカメラマンの付き人としてグラウンドを回っていたのだけど、カメラマンの人が笑って言ってました。
「すごいねー、みんな泣いちゃうんだものねー」

確かに。
綱引きに勝ったといえば泣く。
リレーで自分が抜かれたら泣く。
応援合戦を最後までやり遂げたら泣く。
転んだ友達を慰めつつ一緒に泣く。
なんだかわからんけど泣く。

もちろん、皆が泣いているわけではないですけど。
全員で泣いてたら、それはそれでちょっと怖ろしい。
ただ、やっぱり何でも真剣にやらないと泣くこともできないわけで、それはまぁいいんじゃないかな。

などと書くと、「先生も人生もっと真剣にやったら」と言ってくるイヤーな生徒がきっといるだろうから(被害妄想)、あらかじめ言っておく。
私は人生真剣である(というか、必死である)。

とにかく皆さん、お疲れさまでした。