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2010年3月17日 (水)

YELL

卒業式。
多かれ少なかれ涙が付きものの行事である。
多くの場合、式も最後に近づき在校生の送辞や卒業生代表の答辞の頃になると、あちこちからすすり泣きやらしゃくりあげる声やらが聞こえてくる。
まぁ女の子だし、そりゃそうだよな、と納得もできる。
しかし明らかにフライング気味の諸君の声も多々聞こえてくる。

「私、学事報告の時から泣いてました」とか、
「校歌歌いながらすでに泣いてました」とか。

要するに最初からってことじゃん。
泣きすぎです。

しかし泣けない卒業生というのも淋しいな。
仰げば尊しを歌う頃になってやっと泣けてきたかと思ったが二番の歌詞が思い出せなくてあらかじめ配られていた歌詞カードをポケットから出して開いて視線を落としてみたらそれが昨日行ったドラッグストアのポイントカードであることが判明し可笑しくなったけれど笑うに笑えず泣くに泣けず訳がわからない状態になってどつぼにはまったまま式を終えてしまった君。
君が歩むのは、要するにそういう道なのだ。
いっそのこと、ずっと笑って生きたまえ。

さて、午後は謝恩会。
毎年のことながら思うこと。
卒業生のみなさん、本当に今日(だけ?)はいい子ですねぇ。
ずっとこんなだったら教師も楽だったのでしょうけれど。
もっとも、中1から6年、高1から3年、これだけ成長したのかと気づかされるのも嬉しいものだけれど。
皆さんが担任に語った感謝の言葉が心からの真実であったことを信じております(一応)。

それと最後に担任団に贈った合唱が「YELL」だったのは良かった。
実は私、こっそり、いきものがかりの昔っからの大ファンでございます。
というわけで、私からも卒業生たちにYELLを贈りたいと思います。
人生先は長いぞ、やるだけやったらあとは運任せだ!

ところで学校の方は明日新ホームルームが行われ、今年度を終了。
(春休み中はスプリング・ゼミもあるけど)
リアル図書室もしばらくお休み。
ということで、このブログもしばらく休室……かな。
まぁ、気分次第ということで。
ではでは。

2010年3月15日 (月)

肖像権侵害警告!

予餞会でした。
いわゆる卒業生を送る会。
クラブの後輩や有志の参加者が出てきて演ずるやら感謝の言葉を述べるやら。
この6年間のスライドも上映されたりして、そこに自らの中学1年生のころのおぞましき、もとい、かわいらしき姿を発見し絶叫したりしなかったり……。
確かに月日の経つのは早いものだと実感しますな。

お昼を挟んで、さまざまなクラブが送別会を実施。
料理を作る者もいれば、料理を持ち込む者もいる(運搬者として教員を酷使)。
そして、そういう場に乱入するために(?)、卒業生も遊びにきたりする。
で、卒業生は図書室にも寄ったりする。
大学生は楽しそうだ。

と思ったら、図書室の写真を撮っているヤツがいるぞ。
何だ?
訊いてもはっきり答えない。
さては君、ブロガーだね。
学校に行ったことを書くつもりじゃないのか、その写真を添えて。

「今日は去年卒業した学校の図書室に行ってみました。
全然変わってなくて、のんびりまったりしてましたー。
司書の先生が相変わらずタラタラ仕事してましたー」
とでも書くつもりだろぅ!
許せん!
タラタラしている写真など使ったら肖像権侵害で訴えるぞ!

対抗してこっちも写真を使ってやろう、と思ったが使えるものが何にもないぞ。
仕方ない、君の置いていったお土産を写して載せちまうぞ。

20100315

どうだ、恥ずかしいだろう(?)
こんなもんお土産に(何のお土産なんだ?)持って来よって。
駄菓子が好きだなどと言った覚えはないぞ。
だが豪華詰め合わせだったことは褒めてあげよう。
(結局褒めちまった……)

チェックするからブログのタイトル教えなさい、と詰め寄ったが、結局キャツはしらを切って帰ってしまった。
不安だ。
タラタラの写真が公開されたらどうしよう。
どこかで発見した者は連絡されたし!

2010年3月10日 (水)

ぐちぐち図書室(リアル)

また雪である。
今年は雪の当たり年だとは思っていたが、それにしてもまだ降るのか。
犬は喜ぶかもしれんが、老体に鞭打つ司書教諭にとっては決してありがたいものではない。
今朝も少し雪かきをしてきたのだが、雨を含んだ雪はやたら重くてぎっくり腰になるかと思ったわい。
こういうのは、もうこれで最後にしていただきたいですな。

さて、定期考査も終わって現在は特別編成授業中。
受験勉強の高3の姿も今は見えず、図書室の時間は静かに過ぎております。
と思っていたら、ここ数日間、何だか分からんけど入れ替わり立ち替わり生徒がやってきて、ぐちぐち言いたいことを言っていく。
ブログがほとんど私の愚痴の場と化しているという話は先日したが、リアル図書室の方は生徒の愚痴の場となっているのではないか?

ある生徒はクラブを続けるかどうかで揺れ動いており、そのことで家で両親とケンカしたとかでぐちぐちである。
将来の進むべき道について悩み、ため息を繰り返しながらぐちぐちの生徒もいる。
しかしそれくらいならまだいい、こちらも一応そうかそうかと聞いてあげよう。
だが呆れるようなぐちぐちも続く。

「今回のテストがダメダメだったので、Wiiを母親に取り上げられちゃいました、ひどいと思いませんか、でも取り上げたくせに自分ではWii Fitやってるんですよ、ぐちぐちぐち……」
あきらめなさい、母親は強いのだ。

「先生、ほんと参っちゃうんですけどぉ、ウチの犬、下痢してるんですよー」
……だから私にどうしろと……。

君たち、暇に飽かして愚痴をこぼしに来ているのではあるまいね。
こちとら年度末で仕事が山積しているのだ、付きあってはおられんのだ。
早く帰って犬に正露丸でも飲ませなさい(正露丸は犬には強すぎるか?)。

リアルぐちぐち図書室にならないようにせねばいかんなー。

2010年3月 4日 (木)

『天地明察』です。

学校は現在今年度最後の定期考査中。
ということで、貸し出しは休止、図書室も静かなもの。
鬼の居ぬ間に、というわけでもないが、久々に本の紹介をしましょうか。
もともとそれがブログの当初の目的だったのに、最近は愚痴をこぼす場と化しているようにも思える。
いかん、いかん。

さて、先日本屋大賞のノミネート作品が発表されたという話題を取り上げた際、その時点ではまだ1冊だけ納品されていない作品がある、ということを記した。
昨年12月に発刊された『天地明察』(冲方丁・うぶかた とう)。
ということで読むのが遅くなったのだけれど、いやぁー、これはおもしろかった!
最近では一番かな(個人的には)。

20100304

江戸時代、「日本独自の暦」を作ることに生涯を賭けた実在の人物、渋川春海。
碁打ちにして数学者であるその春海の20年にわたる奮闘・挫折・喜びを描いた成長物語。

作者の冲方丁はライトノベル作家であり、SF作家であり、ゲーム制作者であり、漫画原作者であり……とマルチな才能を発揮している。
時代小説は今回が初めてなのだけれど、お見事の一言。
主人公を取り巻く一癖も二癖もあるような個性的な歴史上の人物も輝いている。
水戸光圀、関孝和(数学者)、本因坊道策(棋士)などなど。
ライトノベルっぽさもちょいと垣間見られるけれど、それが軽妙な味を出していて読みやすい。
物語の根底に流れる、数学・天文学といった学問に対する畏敬の念といったものを受け付けない人にはちょっと敬遠されるかもしれないけれど、個人的には絶賛ですね。

まぁ確かに、女の子にはどうかなぁ、という若干の懸念はあるけれど、ライトノベルの発展形だと思ってぜひ読んでくれぃ。
算術オタクに万歳!