『叶恭子の 知のジュエリー12ヶ月』
タイトルを見ただけでは、なんだなんだなんだ、叶恭子? ジュエリー? 学校図書館に置く本か?
と疑問に思った方もいらっしゃるかも。
でも、これは思春期を迎えた子どもたちを対象にした、理論社の「よりみちパン!セ」シリーズの一冊で、悩み多き女の子へ贈る真っ当な書物。
正直あの叶恭子の本ということで、どんな写真が載っているのかとワクワクしながら、もとい、不安に駆られながら見てみたわけだが、写真など一切なし、誕生石の本か? と訝しく思ったが、そんなこともなし、驚愕の女子中高生向けアドバイス集であった。
うーん、びっくりだ。
もちろん、テレビでもおなじみのゴージャスワールドの先入観を持って読むことになるのだが、その一つ一つの言葉はいたってシンプルで真摯。
この人、ただのイロモノではないな、とちょっと見方が変わりました。
ホントに全部彼女の言葉なの、と疑う向きもあるかもしれないけど、まぁどっちにしてもこれだけ読ませてくれるならどうでもいいかな、という感じ。
人生経験豊富な、酸いも甘いも噛み分ける人でないとなかなか書けない哲学書。
オススメです。
例えば「自信とコンプレックス」と題したこんな文章。
わたくしもつねに、
自信とコンプレックスのはざまにいます。
けれども、それは他人と自分とを
比較することで生じるものではなく、
自分の中の理想との関係によるものでしかありません。
お姉さま、あなたはすごい人だ。
……と、物事を相対的にしか見れず、コンプレックスの塊と化している男は思うのであった。