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2010年3月 4日 (木)

『天地明察』です。

学校は現在今年度最後の定期考査中。
ということで、貸し出しは休止、図書室も静かなもの。
鬼の居ぬ間に、というわけでもないが、久々に本の紹介をしましょうか。
もともとそれがブログの当初の目的だったのに、最近は愚痴をこぼす場と化しているようにも思える。
いかん、いかん。

さて、先日本屋大賞のノミネート作品が発表されたという話題を取り上げた際、その時点ではまだ1冊だけ納品されていない作品がある、ということを記した。
昨年12月に発刊された『天地明察』(冲方丁・うぶかた とう)。
ということで読むのが遅くなったのだけれど、いやぁー、これはおもしろかった!
最近では一番かな(個人的には)。

20100304

江戸時代、「日本独自の暦」を作ることに生涯を賭けた実在の人物、渋川春海。
碁打ちにして数学者であるその春海の20年にわたる奮闘・挫折・喜びを描いた成長物語。

作者の冲方丁はライトノベル作家であり、SF作家であり、ゲーム制作者であり、漫画原作者であり……とマルチな才能を発揮している。
時代小説は今回が初めてなのだけれど、お見事の一言。
主人公を取り巻く一癖も二癖もあるような個性的な歴史上の人物も輝いている。
水戸光圀、関孝和(数学者)、本因坊道策(棋士)などなど。
ライトノベルっぽさもちょいと垣間見られるけれど、それが軽妙な味を出していて読みやすい。
物語の根底に流れる、数学・天文学といった学問に対する畏敬の念といったものを受け付けない人にはちょっと敬遠されるかもしれないけれど、個人的には絶賛ですね。

まぁ確かに、女の子にはどうかなぁ、という若干の懸念はあるけれど、ライトノベルの発展形だと思ってぜひ読んでくれぃ。
算術オタクに万歳!